「マッサージって本当に効果あるの?」「気持ちいいだけじゃないの?」「科学的に証明された効果はあるの?」
歴史をたどると、マッサージは少なくとも4000年以上も前から世界中の地域や文明で行われており、人々の体や心を癒してきました。近年では、様々な研究により、マッサージの素晴らしい効果が科学的に証明されてきています。
本記事では、マッサージが心身に与える7つの影響と36の効果について、国内・海外での論文や研究から得た科学的根拠をもとに解説していきます。オイルマッサージや指圧・もみほぐしなどを含めた、治療系~リラクゼーションマッサージを受けることで得られる効果についてですね。
アメリカンマッサージセラピー協会の調査で、個人の87%がマッサージは心身の健康とウェルネスに効果があると答えています。ウェルネスとは健康であるための手段ということですね。そして、調査対象者の89%がマッサージは痛みの軽減にも効果的であると考えています。また、71%の人がマッサージが心身の問題を改善するヘルスケアの一環であるべきということに同意しています。
病気になったら病院に行くのは当たり前ですよね。運動不足ならスポーツや筋トレもするし、ダイエットのために栄養バランスに優れた食事に変えることもあるでしょう。ストレス解消のためにカラオケに行ったり、旅行をしたり、趣味に没頭したりもしますよね。それと同じように、マッサージも、あなたの心や体の不調を取り除き、健康に生活するための有効手段として活用すべきだと、大勢の人が考えているのです。
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マッサージが心身に与える7つ影響と36の効果
マッサージは最も安全な代替医療の1つと言われています。代替医療とは、通常のお医者さんが行う治療以外の、その代わりになる医療ということですね。
「体がつらい」「肩こりや腰痛がひどい」「強いストレスを感じている」といった場合は、怪しげな民間療法やサプリメントを試す前に、まずはマッサージを受けてみるという選択肢が最適解かもしれません。
マッサージには本当にたくさんのポジティブな効果が期待できます。
特に、①循環器系・リンパ系、②神経系、③筋骨格系、④消化器系・泌尿器系、⑤呼吸器系、⑥肌(皮膚)、⑦心やメンタルヘルスに対して良い効果があると証明されています。
上記7つに対する心身へ与える良い影響と、計36のマッサージ効果について詳しく解説していきます。
1. 循環器系・リンパ系への効果
循環器系とは、心臓→動脈→静脈を通って体の中をサイクルする血液循環のことです。
心臓で新しい血液が作られて、動脈がその血液を運びながら酸素と栄養素を各器官や細胞に届けて、静脈によって疲労物質や老廃物をまた心臓まで運び戻すというサイクルになります。
リンパもまた、静脈で運びきれなかった老廃物を運び取って、腎臓でろ過する機能を持っています。
これらのサイクルは、心臓の活動と、収縮(緊張)と弛緩(リラックス)を繰り返す筋肉のポンプ作用によって行われているので、マッサージによってその手助けができるということですね。
循環器・リンパ系へのマッサージの効果9つ
- 静脈やリンパの流れを増やして代謝を良くし、老廃物や疲労物質(コリや炎症)を取り除くスピードを速める
- 動脈の流れを助けることにより、体の各器官や細胞に酸素と栄養素を効率的に供給する
- 筋肉の緊張はリンパの活動を停滞させるため、マッサージで筋肉をほぐすことでリンパが効率的に働くのを助ける
- マッサージによって機能していない毛細血管を開き、血液の循環を高める
- 筋肉や筋膜の緊張(コリやハリ)をマッサージで取り除くことで、血液循環の制限を解除する
- 心身や筋肉のリラックスと末梢組織への血流の増加が、高血圧の抑制に役立つ
- 静脈瘤の発症を予防、また遅延させる期待
- リンパ浮腫やアザを減らす効果が期待できる
- マッサージ効果による筋緊張の緩和や心身のリラックスは、さまざまなケガや病気の改善に役立つ
高い効果が期待できるマッサージ
- スウェディッシュマッサージ
- アロマオイルマッサージ
- その他オイル系マッサージ全般
2. 神経系への効果
神経系とは、神経と細胞間の複雑なネットワークで、脳や脊髄との間で身体のさまざまな部分に対してメッセージのやりとりをしているシステムのことです。
私たちは、脳や神経を介して、感覚から情報を収集して処理を行い、筋肉に伝令を行っています。筋肉の緊張がその神経回路を邪魔することで、身体にさまざまな痛みや不調が現れるということです。
マッサージで緊張をほぐしたり、コリやハリを取ることで、神経系に良い影響を与えることができます。
神経系へのマッサージの効果3つ
- マッサージによる全身のリラクゼーション反応は、神経系への負担を軽減させる
- 神経を刺激している筋肉の緊張をマッサージで取り除くことで、痛みを軽減させることができる
- 筋膜や筋肉の緊張、関節のこわばりを取ることで、末梢神経の衝突を開放することができるので、神経痛の改善にも役立つ
高い効果が期待できるマッサージ
- オイル系マッサージ全般
- 指圧・もみほぐし・タイ古式
- 足つぼ・リフレクソロジー
3. 筋骨格系への効果
筋骨格系とは、骨、筋肉、腱、軟骨、靭帯、結合組織、関節のことですね。この筋骨格系の働きによって、姿勢の安定と体の運動を可能にしています。マッサージが筋骨格系に与える効果は多数あります。
2021年に発表されたハーバード大学によるマウスを使った実験によって、マッサージは回復を早めるだけでなく筋肉をより強化することが明らかになったと報告されました。通常の疲労回復の他にも、アスリートのパフォーマンス向上に大きく貢献する可能性が示唆されています→マッサージには、なぜ筋肉の治癒効果がある? そのメカニズムが明らかに
筋骨格系へのマッサージの効果10
- 筋肉への循環と筋肉からの循環を促進させるので、筋肉への栄養供給を増やし老廃物の蓄積を減らす
- 関節への血液供給を改善し、関節の潤滑力をアップさせスムーズな動作に役立つ
- 循環効率が良くなることで骨の修復に役立つ
- マッサージ中のストレッチは、硬くなり鈍くなった腱や靭帯の働きを正常に戻す
- 筋肉・腱・靭帯の癒着を減らす効果
- 関節の可動域を広げる
- 筋骨格のバランスを改善させ、ケガの予防に繋がる
- バランスの改善により、良い姿勢を保つ
- 痛みの原因となっているトリガーポイントを除去する
- 全身へのリラクゼーション効果が、幸福感を生み出し筋肉の緊張をとく
高い効果が期待できるマッサージ
- 指圧・もみほぐし・タイ古式
- スポーツマッサージ
- ディープティシューマッサージ
4. 消化器系・泌尿器系への効果
消化器系は、口→食道→胃→腸を介して、栄養素を体に提供し消化させていくプロセスを担っています。また、老廃物を取り除く役割も持ち合わせています。
泌尿器系は、体液(血液)中の老廃物などを尿にして、体外に排出するシステムですね。
マッサージを受けることにより、消化器系・泌尿器系への良い影響も期待できます。
消化器系・泌尿器系へのマッサージの効果3つ
- マッサージによる刺激は、消化管の筋収縮運動を手助けする役割を果たす
- リラクゼーション効果が副交感神経への誘導を助け、消化管の活動を活発化させる
- 消化器官の活動が促進されるため、便秘の解消や腸内ガスの排出を助ける効果がある
高い効果が期待できるマッサージ
- オイル系マッサージ全般
- 指圧・もみほぐし・タイ古式
- 足つぼ・リフレクソロジー
5. 呼吸器系への効果
呼吸器系とは、酸素を取り込んで二酸化炭素を排出するシステムです。
肺が主要な器官となって、呼吸時に外から取り込んだ酸素をろ過し、血流にのって臓器や細胞組織に運び、また、血液から二酸化炭素を取り出して、息を吐くと同時に放出します。
以下が、マッサージによって期待できる呼吸器系への効果です。
呼吸器系へのマッサージの効果4つ
- マッサージによるリラックス効果と深い呼吸への誘導は、横隔膜の緊張を緩和させ、その機能を向上させる
- 胸椎(背中)へのマッサージで、肺や関連組織への神経供給を改善させる
- 呼吸をサポートする筋肉の緊張を和らげ、胸郭の可動性を高める
- リラックス効果によって深く効率的な呼吸を生み出し、喘息や気道疾患の症状を軽減させる効果が期待できる
高い効果が期待できるマッサージ
- オイル系マッサージ全般
- 指圧・もみほぐし・タイ古式
- 足つぼ・リフレクソロジー
6. 肌(皮膚)への効果
マッサージは、肌(皮膚)へのプラスの効果、また美容効果も期待できます。特に美容・保湿効果の高いオイル(アロマオイル)を使用したマッサージで、高い効果が期待できるでしょう。
肌(皮膚)へのマッサージの効果2つ
- 血液循環の活動が促進されることで、皮膚の温度を上げ、皮膚の状態・質感・調子を改善する栄養素を作り出す能力を高める
- マッサージによる皮脂腺への刺激が皮脂の生産を増やし、皮膚の状態を改善し乾燥から肌を守る効果がある
高い効果が期待できるマッサージ
- オイル系マッサージ全般
- エステ
- フェイシャルマッサージ
7. 心やメンタルヘルスへの効果
マッサージは私たちの体だけではなく、心(メンタルヘルス)やストレス解消にも良い影響を与えます。
マッサージよるリラクゼーション効果は、副交感神経反応を誘発し、様々な素晴らしい効果をもたらしてくれます。
心やメンタルヘルスへのマッサージの効果5つ
- マッサージによる副交感神経反応の誘発は、心拍数を遅くして消化器官をリラックスさせ、エネルギーの節約に役立つ
- 疲労を軽減させることで、新たなエネルギーを生み出す力を高める
- 副交感神経優位の状態は、睡眠の質の向上、ストレスによる不眠症の軽減、気分の上昇、怒りの感情の軽減、自身のイメージの改善、自尊心の改善に役立つ
- マッサージ効果による緊張の弛緩やリラクゼーション反応は、頭痛の軽減に役立ち、日常生活の充実化につながる
- マッサージによりリラックス効果は、感情のバランスを整え、うつの症状を改善させる効果も期待できる
高い効果が期待できるマッサージ
- リラクゼーションマッサージ全般
マッサージの危険性(リスク)について
最も安全な代替医療の1つとも言われているため、マッサージによる有害な影響のリスクは極めて低いと報告されています。
塞栓症(血栓が飛ぶ)、神経損傷、骨折などの深刻な副作用の報告は非常にまれですが、報告されている症例のいくつかは、強度の高すぎるマッサージや骨をボキボキ鳴らすような危険な整体、または高齢者などのケガのリスクが高い可能性のある患者に関係しています。十分に注意しましょう。
マッサージを受けた後は、「好転反応」や「揉み返し」といった、体の不調や筋肉の痛みを感じる場合もあります。それぞれ解説しているので、不安な方はご覧ください。
ほとんどの人は、マッサージの恩恵を受けることができますが、次のような場合はマッサージが適切ではない可能性がありますので注意が必要です。
- 出血性疾患または抗凝血薬を服用している方
- 火傷や傷の治癒
- 深部静脈血栓症
- 感染症
- 骨折
- 重度の骨粗鬆症
- 重度の血小板減少症
上記に当てはまる場合や、妊娠中、がんや原因不明の重度の痛みがある場合は、マッサージの長所と短所について医師に相談しましょう。
まとめ
本記事で解説した「マッサージが心身に与える7つの影響と36の効果」は、主に国内・海外での論文や研究の結果をもとにしています。
マッサージには、まだ研究で解明されていない素晴らしい効果が数えきれないほど存在すると、私は考えています。
「体がつらい」「肩こりや腰痛がひどい」「ストレスで心が潰されそう」といった場合は、ぜひお近く、または気になるマッサージ店に足を運んでみてはいかがでしょう。