西洋のヨガとも言われ、世界中のセレブやアスリートにも愛好者の多い「ピラティス」。いったいヨガとはどのような違いがあるのでしょう?
多くの人がピラティスとヨガを似ていると考えていますが、実際には大きく異なります。「ピラティスよりもヨガ」と言う人もいれば、「ヨガよりもピラティス」と断言する人もいる理由がそこには隠れているので、それぞれのプラクティスのユニークなメリットについて詳しく見ていきましょう。
本記事では、「ピラティスとヨガの違い」「ピラティスとヨガのダイエット効果の比較(どっちが痩せる?)」「初心者にはどちらが適しているか」について深く探り、ピラティスとヨガ、どちらのエクササイズがあなたに適しているかを明確にしていきます。
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ピラティスとヨガの違い
ピラティスもヨガも、フィットネスと柔軟性の向上に役立つトレーニングかつ、心身のつながりに焦点を当てているため、様々な類似点がありますが、まったく同じではありません。どちらを選びべきかを決定するには、それぞれの違いを理解することが重要です。
ピラティスは、姿勢、強さ、コントロールを向上させるために設計されたエクササイズを通じて、体幹の強化とバランスの改善に主な焦点を当てています。レッスンでは、体幹の安定性を高める動きを実行しながら、中立的な背骨の位置を維持することに重点を置いています。
ヨガは何千年も前から存在しており、さまざまなバリエーションがあります。主に、身体のポーズ、呼吸法、瞑想テクニックの組み合わせで構成されています。ヨガは内面の気づきと心の平穏を育みながら、強さ、調整、柔軟性、バランスを構築することに焦点を当てています。
ピラティスとヨガの主な違いは、体全体に対する目標にあります。ピラティスは、筋肉のターゲットを絞って強化し、関節周囲の安定性を高め、より良い身体バランスを目指します。ヨガは自重のみのポーズを通して、バランス、強さ、柔軟性、リラクゼーションを発達させます。
もう1つの違いは、各体験へのアプローチ方法にあります。ヨガはよりマインドフルであるのに対し、ピラティスは体のメカニズムや動きに焦点を当て、精神的な目標やヨガの一般的な要素である瞑想状態に到達することにはあまり重点を置いていません。
わかりやすく表現すると、
「ピラティス」=体幹やバランスを意識したエクササイズ的な要素が強い身体的な健康を重視
「ヨガ」=瞑想や呼吸を意識した精神的な健康を重視
となります。
ここが、時にピラティスが「西洋のヨガ」と言われているゆえんですね。
ピラティスの特徴
- 体幹・バランスを意識
- 身体的な健康を重視
- 西洋医学的
- ボディメイクに効果的
ヨガの特徴
- 瞑想・呼吸を意識
- 精神的な健康を重視
- スピリチュアル的
- 心身のマインドフルネスに効果的
簡単に分けるとこのような感じですが、現在は、ヨガもピラティスも健康やスタイル維持のためのエクササイズとして人気が高いとも言えます。
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ピラティスとヨガの呼吸の違い
ピラティスの呼吸法は「胸式呼吸」となります。三次元呼吸とも呼ばれ、胸郭を後ろや横に広げるように呼吸します。息は鼻から吸い込み、すぼめた唇から吐き出していきます。息を吐き出すことで腹横筋、多裂筋、骨盤底が収縮されるため、緊張した胸部と肩の筋肉が緩和されます。これにより、リンパ系が活性化されリンパ液の促進に繋がります。
ヨガの呼吸法は主に「腹式呼吸」をベースとしています(胸式も用います)。ヨガでは、鼻から息を吸ってお腹が膨らませ、鼻から息を吐きながらお腹を縮ませていきます。ヨガの呼吸法では、副交感神経系を優位にさせるリラックス効果が高くなります。これにより、弛緩反応が促進され、血液に多くの酸素が運ばれるため、より筋肉を伸ばしやすくなります。
ピラティスとヨガはどっちが痩せる?【ダイエット効果の比較】
ピラティスとヨガはどちらも有益なエクササイズであり、身体的、精神的、感情的な健康を促進するために長年にわたって進化してきました。コアとなるコンセプトは同じままですが、そのアプローチは異なります。どちらも減量の目標を達成するのに役立ちますが、それぞれに独自の利点があります。
ピラティスは、自重、マシン、道具を使用したエクササイズによって、特定の筋肉を鍛えることができます。新陳代謝を高めながら姿勢を改善し、全身を強化するのに役立つ総合的なトレーニングであるため、しなやかで引き締まった身体を目指すボディメイク効果に優れています。
ヨガはポーズとストレッチがすべてであり、自重によって体全体を強くし、柔軟性を高めていきます。ホットヨガやパワーヨガなど一部のスタイルは、カロリーを燃焼するのに役立つ有酸素運動を練習に取り入れることを意味する場合がありますが、特定の筋肉を鍛える効果があるピラティスに比べると、シェイプアップ効果には劣ります。
ヨガもピラティスも、消費カロリーに大きな差はありません。
- 初級レベルのマットピラティスとハタヨガで約150~175kcal
- 上級者向けのマットピラティスとホットヨガで約354kcal
- ハードなマシンピラティスやパワーヨガで約415kcal
消費カロリーだけ見ればほぼ同等レベルですが、より特定の筋肉やインナーマッスル、姿勢強化にアプローチしたピラティスの方がボディメイクやシェイプアップにはやや有利と考えられます。ただし、どちらも減量目的のエクササイズではないので、単純に痩せることを目指すのであれば、ランニングなどの有酸素運動と食事管理を併せて行う必要があります。
ピラティスのダイエット効果についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
ピラティスって本当に痩せるの?ダイエット効果や消費カロリーを検証!
ピラティスとヨガ、初心者はどっちが向いている?
ピラティスとヨガはどちらも人気のあるエクササイズで、身体的および精神的効果に多くの類似点がありますが、最終的な目標、アプローチ方法、対象となる筋肉が異なります。
「体幹やバランスを意識したエクササイズ的な要素が強い身体的な健康を重視するならピラティス」
「瞑想や呼吸を意識した精神的な健康を重視するならヨガ」
「ボディメイク効果を期待するならピラティス」
「マインドフルネス効果を期待するならヨガ」
と分けることもできますが、実際に体験してみてどちらが自分に合うかフィーリングをチェックしてみるのがオススメです。
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次章で、ピラティスとヨガの歴史や効果について解説していくので、どちらにより興味が湧くのか、心の声を聴いてみるのも良いでしょう。
ピラティスとは?
ピラティスとは簡単に言うと、体幹の強化に重点を置いたエクササイズの一種です。部分的な筋肉の強化にも、全体的な健康の改善にも役立つ運動ですね。ピラティスはヨガと同じように、姿勢・バランス・柔軟性に重点を置いているので、他の激しい運動よりも、ケガの心配がはるかに少なくなります。また、これもヨガとの共通点となりますが、ピラティスは心と体のつながりにも焦点を当てているので、エクササイズの間は、呼吸と体の動きを常に意識する必要があります。
もともとピラティスは、ドイツ人のジョセフ・H・ピラティス(Joseph H. Pilates)が、ケガをしたダンサーや兵士のための、リハビリプログラムとして発明した運動なります。彼はその後、アメリカに移住してNYで発展していきました。当時は「Contrology」という名前で呼ばれていて、健康は肉体と精神が密接に関係しているという考えから、いかに心と身体をコントールして健康に導くかということがコンセプトとなっていました。今では、体幹強化や姿勢改善以外にも、ボディメイクやシェイプアップといった美容的な観点からピラティスが推奨されることが多くなっています。
ピラティスとは
- 体幹強化を重視
- 姿勢・バランス・柔軟性が大事
- ケガの可能性が低い
- 心と体・動作と呼吸に焦点
- もともとはリハビリプログラム
- ボディメイクやシェイプアップにも
ピラティスの効果
ピラティスによる身体的、精神的、健康上で期待できる効果は以下の通りです。
ピラティスの効果
- 良い姿勢
- 筋力・体幹強化
- ウエストの引き締め
- 柔軟性アップ
- バランス改善
- ストレスの軽減
- 幸福感の向上
ヨガとは?
ヨガは古代インド発祥の宗教的な行法で、いろいろな諸宗教で行われていました。本来の目的は、心身の鍛錬や精神統一をして、最終的に悟ることを目的とした修行法になります。ちなみに、お釈迦様もヨガを学んでいて、その中の瞑想的な行法が、後の仏教の座禅となります。
12-13世紀頃に、呼吸法や座法(アーサナ)を重視した動的なヨガである、ハタ・ヨガが出現します。現在の日本で「ヨガ」と言えば、様々なポージング(アーサナ)を行う、健康や美容を目的とした、エクササイズ的なヨガを思い浮かべる人が大半だと思います。そのほとんどが、この「ハタ・ヨガ」がベースとなっています。
ヨガの発展や歴史は非常に奥が深く、ここでは解説しきれないので、詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
【ヨガとは?】発祥の地・歴史・ブームの理由・種類と特徴を解説
ヨガとは
- 古代インド発祥
- 心身の鍛錬と精神統一をする修行法
- 本来は悟りが目的
- 座法・呼吸法・瞑想法などで構成
- 座法が進化してハタ・ヨガへ
- 瞑想的なヨガが欧米でプチブーム
- ハタ・ヨガがエクササイズに発展
- 現代の世界的ヨガブームへ
ヨガの効果
欧米では、ヨガの心身に与える影響についてたくさんの研究がなされていて、様々な効果が報告されています。その中でも、科学的に立証されている信ぴょう性の高いものは以下となります。
ヨガの効果
- ストレスの軽減
- 不安をやわらげる
- 炎症の緩和・免疫力向上
- 心臓の健康に貢献
- 生活の質の向上
- うつ症状の軽減
- 慢性的な痛みの軽減
- 睡眠の質の向上
- 柔軟性・バランス・姿勢の改善
- 呼吸(肺)機能の改善
- 片頭痛の緩和
- 食生活の改善
- 筋力アップ
- 集中力と生産性の向上
- 美容・ダイエット効果
まとめ
ピラティスもヨガも、心身のつながりに焦点を当てていることは同じで、どちらも優れた身体的・精神的効果が期待できます。
「ピラティス」=体幹やバランスを意識したエクササイズ的な要素が強い身体的な健康を重視
「ヨガ」=瞑想や呼吸を意識した精神的な健康を重視
といった、西洋医学的かマインドフルネス的かの違いはありますが、どちらもあなたの心と身体の健康に貢献する素晴らしいワークであることに違いはありません。
ぜひピラティスもヨガも、色々なスタジオで体験してみて、よりあなたとフィーリングの合う方を選ぶと良いでしょう。
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