科学的根拠が示す「ヨガの効果」について解説していきます。
近年のヨガブームで、健康的・美容的な効果を求めてヨガを始める人も多いかと思います。
その一方で、「これって信ぴょう性あるの?」と思ってしまうような宣伝を掲げて、ヨガの勧誘に励む業者も多いのが現実です。
今日は、様々な研究によって示された信ぴょう性の高い、「科学的根拠が示すヨガの効果」をお伝えしていきます。
ヨガの効果(科学的根拠あり)
ここでは、一般的に知られているヨガ(ハタ・ヨガやホットヨガ、ヨガの瞑想法などを含めたもの)の、わたしたちの心と体に与える効果をお伝えしていきます。
「ヨガとは何か?」「ヨガの種類」について知りたい方は、↓の記事で解説しています。
【ヨガとは?】種類や特徴を超絶わかりやすく解説【初心者向け】
欧米では、ヨガの心身に与える影響についてたくさんの研究がなされていて、様々な効果が報告されています。
その中でも、科学的に立証されている信ぴょう性の高いものをまとめてみました。
ヨガの効果
- ストレスの軽減
- 不安をやわらげる
- 炎症の緩和・免疫力向上
- 心臓の健康に貢献
- 生活の質の向上
- うつ症状の軽減
- 慢性的な痛みの軽減
- 睡眠の質の向上
- 柔軟性・バランス・姿勢の改善
- 呼吸(肺)機能の改善
- 片頭痛の緩和
- 食生活の改善
- 筋力アップ
- 集中力と生産性の向上
- 美容・ダイエット効果
では、1つずつ解説していきます。
1. ストレスの軽減
ヨガはストレスを軽減させ、リラックスを促進する効果が知られています。
複数の研究により、主要なストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を減少させることが示されています。
感情的に苦しんでいると感じた24人の女性を対象とした研究では、3か月間のヨガプログラムの後、女性たちのコルチゾール値は大幅に低下しました。
また、ストレス、不安、疲労、うつ症状のレベルも低い数値を示しました。
131人を対象とした別の研究でも同様の結果が得られ、10週間のヨガがストレスと不安を軽減させ、生活の質とメンタルヘルスの改善にも役立ちました。
ココがポイント
ヨガはストレスを軽減させ、ストレスホルモンのコルチゾールの分泌を減少させる
2. 不安をやわらげる
不安な感情をやわらげるのにもヨガは効果的です。
ある研究では、不安障害と診断された34人の女性が、週に2回、2か月間ヨガクラスに参加した結果、不安のレベルが大幅に減少しました。
別の研究では、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を患う64人の女性を追跡し、10週間後、週に1回ヨガをした女性たちはPTSDの症状が軽減されました。
実際、参加者の52%がPTSDの診断基準を下回ることに成功しました。
ヨガがなぜ不安の症状を軽減できるかは完全には明らかになっていませんが、その効果は確かに存在し、不安の治療にも役立つことが示されています。
ココがポイント
ヨガは不安な感情を和らげる効果あり
3. 炎症の緩和・免疫力向上
ヨガは炎症の緩和と免疫力向上にも効果が期待できます。
炎症は正常な免疫反応ですが、慢性的な炎症は心臓病、糖尿病、癌などの炎症性疾患の発症につながる可能性があります。
2015年の調査では、218名の参加者が2つのグループに分けられました。
ヨガを定期的に行ったグループと行わなかったグループです。
その後、両グループに中程度の激しい運動をさせ、その炎症度合いを測りました。
その結果、ヨガをしたグループは、しなかったグループよりも炎症のレベルが総じて低い値を示しました。
同様に、2014年の小規模な研究では、12週間のヨガにより、疲労が持続することで知られる乳がん患者の炎症レベルが減少したことが示されました。
炎症に対するヨガの有益な効果を確認するには、さらに多くの研究が必要ですが、これらの調査結果は、慢性炎症によって引き起こされる特定の疾患を防ぐのに役立つ可能性があることを示しています。
ココがポイント
ヨガは免疫力向上と炎症の緩和、炎症誘発性疾患の予防に役立つ可能性あり
4. 心臓の健康に貢献
様々な研究は、ヨガが心臓の健康を改善し、心臓病のいくつかの危険因子を減らすのを助けるかもしれないことを示しています。
ある研究によると、5年間ヨガを続けた40歳以上のグループは、練習しなかったグループよりも血圧と脈拍数が低くなる結果となりました。
高血圧は、心臓発作や脳卒中などの心臓の問題の主要な原因の1つなので、血圧を下げると、これらの問題のリスクを減らすことができます。
一部の研究では、健康的なライフスタイルにヨガを取り入れることで、心臓病の進行を遅らせることができることも示唆しています。
心臓病の患者113人を対象とした研究で、食事生活の変更とストレス管理を組み合わせた1年間のヨガトレーニングを含むライフスタイルの変化の影響を調べました。
参加者は、総コレステロールが23%減少し、「悪玉」LDLコレステロールが26%減少しました。
さらに、47%の患者が心臓病の進行を防ぐことに成功しました。
ヨガが、心臓の健康に貢献するダイエット効果をはじめ、心臓病の主な原因の1つであるストレスを最小限に抑えることが可能なことも研究では示されています。
ココがポイント
ヨガは心臓病の危険因子を減らす効果あり
5. 生活の質の向上
ヨガは、多くの人々の生活の質を改善するための補助療法としてますます一般的になってきています。
ある研究で、135名の高齢者が6か月のヨガ、ウォーキング、その他の運動のグループのいずれかに割り当てられました。
ヨガを行った高齢者グループは、他のグループと比較して、生活の質、気分、疲労を大幅に改善できたとの結果がでました。
他の研究は、ヨガがどのように生活の質を改善し、癌患者の症状を減らすことができるかを調べました。
化学療法を受けている乳がんの女性を追跡した結果、ヨガは吐き気や嘔吐などの症状を軽減し、全体的な生活の質の改善に貢献しました。
同様の研究で、8週間のヨガが乳がんの女性にどのように影響したかを調べました。
その結果、がんの活性化、受容、緩和のレベルが改善され、女性の痛みと疲労が軽減されました。
他の研究でも、ヨガは、睡眠の質を改善し、精神的幸福を高め、社会的機能を改善し、癌患者の不安とうつ病の症状を軽減するのに役立つ可能性があることを発見しています。
ココがポイント
ヨガは生活の質を高める期待度大
6. うつ症状の軽減
ヨガには、抗うつ効果があり、うつ病の症状を軽減するのに役立つ可能性があることが示されています。
これは、ヨガが、うつ病に関連することが多い神経伝達物質のセロトニンに影響を与えるストレスホルモンであるコルチゾールのレベルを低下させるという理由が有力です。
ある研究で、アルコール依存症プログラムの参加者が、リズミカルな呼吸に焦点を当てた特定の種類のヨガを行ったところ、2週間後、その参加者はうつ病の症状が減少し、コルチゾールのレベルが低下を示しました。
彼らはまた、コルチゾールの放出を刺激する原因となるホルモンである副腎皮質刺激ホルモンのレベルも抑えることができました。
他の研究でも同様の結果が出ており、ヨガとうつ病の症状の減少との関連が示されています。
これらの結果に基づいて、ヨガは、単独で、または従来の治療方法と組み合わせて、うつ病と闘うのに役立つ可能性があると言えるでしょう。
ココがポイント
ヨガはうつとの闘いにも役立つ
7. 慢性的な痛みの軽減
肩こり、腰痛、関節炎などの慢性的な痛みは、多くの人々に影響を及ぼしている永続的な問題です。
近年、ヨガが多くのタイプの慢性の痛みを減らすのを助けることができることを示す研究が増えています。
2005年の研究で、ヨガが膝の変形性関節症の参加者の痛みを軽減し、身体機能を改善するのに役立つ可能性があることを示しました。
また、ヨガによる筋力アップ、柔軟性の向上、身体バランスや姿勢の改善が、肩こりや腰痛、関節痛といった様々な慢性的疾痛の改善に役立つという結果も報告されています。
まだまだ研究が必要ですが、ヨガを毎日のルーティンに組み込むことで、慢性的な痛みに苦しむ人々にとって有益になると言えるでしょう。
ココがポイント
ヨガは肩こり・腰痛・関節痛の緩和に役立つ
8. 睡眠の質の向上
睡眠の質の悪さは、肥満、高血圧、うつ病にも関連しています。
研究により、ヨガを続けることが、より良い睡眠に役立つことを示しています。
2005年の研究で、69人の高齢者に、ヨガの実践、ハーブの活用、その他のグループに割り当てたところ、ヨガのグループは、他のグループよりも早く眠りに落ち、睡眠時間が長くなり、朝の目覚めが良くなるという結果がでました。
別の研究では、リンパ腫の患者の睡眠に対するヨガの影響を調べ、ヨガが睡眠障害を減らし、睡眠の質と持続時間を改善し、睡眠薬の必要性を減らしたことを発見しました。
仕組みは完全には明らかになっていませんが、ヨガは睡眠と覚醒を調節するホルモンである、メラトニンの分泌を増加させることがわかりました。
ヨガはまた、睡眠障害の大きな原因となる、不安、うつ、慢性の痛みやストレスの緩和にも大いに役立つことが報告されています。
ココがポイント
ヨガはメラトニンの分泌を増加させ、睡眠の質を向上させる
9. 柔軟性・バランス・姿勢の改善
柔軟性やバランスや姿勢の改善といった、健康やボデイメイク、スタイルアップのためにヨガを行う人も多いでしょう。
このメリットを裏付ける様々な研究があり、柔軟性とバランスの改善を目標とする特定のポーズを行うことで、パフォーマンスを向上できることが示されています。
最近の研究で、26名の男性の大学生アスリートに対する10週間のヨガの影響を調べたところ、ヨガが他の運動に比べて、柔軟性とバランスのいくつかの測定値を大幅に増加させる結果となりました。
別の研究では、66人の高齢者に、ワークアウト的なヨガとその他の体操を続けさせたところ、1年後、ヨガグループの全体的な柔軟性は、体操グループの4倍近くに増加しました。
2013年の研究では、ヨガが高齢者のバランスと運動性の改善に役立つこともわかりました。
毎日わずか15〜30分のヨガを行うことで、柔軟性とバランスを高めてパフォーマンスを向上させたいと考えている人に大きな違いをもたらす可能性があります。
ココがポイント
ヨガは柔軟性・バランス・姿勢の改善に効果大
10. 呼吸(肺)機能の改善
ほとんどのヨガで、様々な呼吸法やテクニックが組み込まれています。
そして、その呼吸のトレーニングにより、肺機能を向上させることがわかってきています。
ある研究で、287人の大学生が15週間のクラスを受講し、さまざまなヨガのポーズや呼吸法を学んだところ、彼らの肺活量をアップさせる結果となりました。
肺活量は、肺から排出できる空気の最大量の目安で、肺疾患、心臓疾患、喘息の方には特に重要な要素です。
2009年に行われた別の研究では、軽度から中程度の喘息の患者が、ヨガ呼吸を行うと、喘息の症状と肺機能が改善することがわかりました。
呼吸を改善することで、持久力とパフォーマンス向上させ、肺と心臓を健康に保つ効果が得られます。
ココがポイント
ヨガの呼吸法は肺機能を向上させる
11. 片頭痛の緩和
片頭痛は多くの人々、特に女性にとって大きな悩みとなっています。
一般的に、片頭痛の症状を緩和するためには、薬を服用する人がほとんどでしょう。
ただし、様々な研究結果が、ヨガが片頭痛の頻度を減らすのに役立つ有用な補助療法である可能性があることを示しています。
2007年の研究では、72人の片頭痛患者を3か月間、ヨガ療法またはセルフケアグループに分けました。
すると、ヨガのグループは、セルフケアグループと比較して、頭痛の強度、頻度、痛みが軽減されるという結果が報告されました。
60人の片頭痛患者に従来のケアとヨガ療法を併用させた研究では、ヨガを行うと、従来のケアだけの場合よりも頭痛の頻度と強度が大幅に減少することがわかりました。
研究者たちは、ヨガをすることは迷走神経を刺激する助けになっている可能性を示唆しています。
そしてそれが、片頭痛を取り除くのに効果的であるということです。
ココがポイント
ヨガは片頭痛の緩和に期待できる
12. 食生活の改善
健康的な食生活には、あなたの感情のコントロール(マインドフルネス)が重要になってきます。
それはあなたが食べ物の味、匂い、食感に注意を払い、あなたの食事についての考え、感情、または感覚に気づくことです。
この習慣は、血糖値の制御、体重の減量、摂食障害の改善に役立つ健康的な食生活を促進することに繋がります。ヨガもマインドフルネスに重点を置いているため、健康的な食事行動を促すためにヨガを活用できることが、いくつかの研究で示されています。
54人の患者を対象とした外来の摂食障害治療プログラムにヨガが組み込んだ研究では、ヨガが摂食障害の症状と食事への執着心の両方を軽減するのに役立つことがわかりました。
別の小規模な研究では、ヨガがどのように過食症の症状、強制的な過食とコントロールの喪失を特徴とする障害の症状に影響を与えるかを調べました。
その結果、ヨガは、過食症のパターンの減少、身体活動の増加、および体重のわずかな減少を引き起こすことが判明しました。
摂食行動に障害がある場合とない場合の両方で、ヨガを通してマインドフルネスを実践することが、健康的な食生活の改善に役立つ結果となっています。
ココがポイント
ヨガは食生活の改善にも寄与します
13. 筋力アップ
柔軟性を向上させることに加えて、ヨガはしなやかな筋肉を増加させる運動としても推奨されます。
実際、ヨガの特定のポーズは、筋力を高め、筋肉を増加させるように設計されています。
ある研究では、79人の成人が24サイクルの太陽礼拝(ウォームアップとしてよく使用される一連の基本ポーズ)を週6日、24週間行いました。
彼らは上半身の筋力アップ、持久力、体重減少の著しい効果を経験し、女性の体脂肪率も低下させました。
2015年の研究でも同様の調査結果があり、12週間の練習が173人の参加者の持久力、筋力、柔軟性の改善につながったことを示しています。
これらの発見に基づいても、ヨガを行うこと、特に定期的な運動と組み合わせて行うことは、筋力と持久力を高める効果的な方法になることを示しています。
ココがポイント
ヨガは筋力アップにもGOOD
14. 集中力と生産性の向上
ヨガは、わたしたちの健康的な生活や身体能力の向上に役立つだけではなく、ビジネスの面においても有益な効果を与えることがわかっています。
85,000人の労働者を対象とした調査によると、ヨガなどのマインドフルネスベースの導入が、従業員の健康を改善し、燃え尽き症候群などの生産性の問題を緩和することが報告されました。
さらに、オランダの367人の労働者を対象とした2013年の調査では、1週間のヨガレーニングが、集中力の向上、忍耐力と回復力のレベルの向上、倦怠感の減少を示す結果が報告されています。
このようにヨガは、職場での集中力と忍耐力の増加に貢献し、ビジネスの生産性向上に大いに役立つでしょう。
ココがポイント
ヨガは仕事の生産性向上にも貢献
15. 美容・ダイエット効果
近年においては、美容やダイエット効果を期待して、ヨガに取り組む人が大勢いると思われます。
そのような女性にとっても、ヨガは大きな希望となるでしょう。
ヨガによる血流の増加や、呼吸機能の向上は、細胞の活性化に貢献し、肌環境を整えるとともに、美しい肌を生成する能力を向上させます。
また、ヨガのポーズによって筋力バランスや姿勢を改善することで、しなやかで健康的なボディラインを作り上げる手助けとなります。
ヨガエクササイズが体脂肪の減少に貢献することも、美容やダイエットに大きな効果があると言えるでしょう。
ココがポイント
ヨガは美容にもおすすめ
まとめ
今日は「科学的根拠が示すヨガの効果」について解説してきました。
このように、ヨガにはたくさんの有効な効果が、科学的にも証明されているので、健康や美容目的はもちろん、あなたの生活の質を向上させる手段としても、ぜひヨガを日常の一部に取り入れてみてはいかがでしょうか?
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